横顔の君
*
(どうしよう…?)
例のファンタジー小説はとっくに読んでしまった。
いつもならその続きを買うことを口実に、いそいそと古本屋さんに出かけていくところなのだけど…
だけど、先日の想いがそれを邪魔していた。
とはいえ、日が経つに連れて、気持ちはどんどん落ち着かなくなっていた。
それもそのはず…今までなら数日したら行ってたのが、もう一週間以上行ってないんだから。
こんなに行かなかったら、あの人もおかしいって思うかもしれない。
いや、あの人は私のことなんて何とも思ってないだろうから、そんなことは気にしてないかもしれない。
そんなところに行くのは馬鹿らしいことだ…
そうは思っても、好きという感情はそんなに簡単に割り切られるものじゃない。
「こんばんは。」
結局、私はその次の日、仕事の帰りに鏡花堂に立ち寄ってしまった。
いつものように、長編ファンタジーの続きを10巻、レジに手渡す。
「あ、吉村さん…」
あの人が本を置く時、あのしおりを挟むのがちらっと見えた。
あれを使ってくれてるなんて…それだけで、私の胸は熱くなった。
「お久しぶりですね。」
「あ、あぁ、このところ、仕事が忙しくて…」
私はそんな嘘を吐いた。
「そうだったんですか。
あの日以来なかなかいらっしゃらなかったから、もしかして、僕、あの時、なにかやらかしてしまったのかと心配してたんですよ。」
「やらかすだなんて、そんな…」
どうしてだろう?
照之さんの笑顔には一片の曇りもない。
嘘を吐いてる様子は全くなかった。
だからこそ、私の疑問はなおさら深いものとなった。
少なくとも、照之さんは私を嫌ってはいない。
少し来ないだけで、心配してくれたし、しおりも使ってくれてる程だもの。
だったら、やっぱり一緒にいて恥ずかしいとかではないと思う。
だったら……
あぁ、そうか…
嫌いではないけど、恋愛対象ではないってことなんだ。
つまりは完全に友達みたいな気持ち。
好きな人は他にちゃんといて、でも、その人に想いは伝えてない…あ、そうだ、他にもある。
或いは伝えられない相手…伝えてはいけない相手…
きっとそうなんだ。
だけど、照之さんはその人のことが好きだから、私と一緒のところを見られたくなかった…
そう考えると、やはり寂しい気持ちは募った。
(どうしよう…?)
例のファンタジー小説はとっくに読んでしまった。
いつもならその続きを買うことを口実に、いそいそと古本屋さんに出かけていくところなのだけど…
だけど、先日の想いがそれを邪魔していた。
とはいえ、日が経つに連れて、気持ちはどんどん落ち着かなくなっていた。
それもそのはず…今までなら数日したら行ってたのが、もう一週間以上行ってないんだから。
こんなに行かなかったら、あの人もおかしいって思うかもしれない。
いや、あの人は私のことなんて何とも思ってないだろうから、そんなことは気にしてないかもしれない。
そんなところに行くのは馬鹿らしいことだ…
そうは思っても、好きという感情はそんなに簡単に割り切られるものじゃない。
「こんばんは。」
結局、私はその次の日、仕事の帰りに鏡花堂に立ち寄ってしまった。
いつものように、長編ファンタジーの続きを10巻、レジに手渡す。
「あ、吉村さん…」
あの人が本を置く時、あのしおりを挟むのがちらっと見えた。
あれを使ってくれてるなんて…それだけで、私の胸は熱くなった。
「お久しぶりですね。」
「あ、あぁ、このところ、仕事が忙しくて…」
私はそんな嘘を吐いた。
「そうだったんですか。
あの日以来なかなかいらっしゃらなかったから、もしかして、僕、あの時、なにかやらかしてしまったのかと心配してたんですよ。」
「やらかすだなんて、そんな…」
どうしてだろう?
照之さんの笑顔には一片の曇りもない。
嘘を吐いてる様子は全くなかった。
だからこそ、私の疑問はなおさら深いものとなった。
少なくとも、照之さんは私を嫌ってはいない。
少し来ないだけで、心配してくれたし、しおりも使ってくれてる程だもの。
だったら、やっぱり一緒にいて恥ずかしいとかではないと思う。
だったら……
あぁ、そうか…
嫌いではないけど、恋愛対象ではないってことなんだ。
つまりは完全に友達みたいな気持ち。
好きな人は他にちゃんといて、でも、その人に想いは伝えてない…あ、そうだ、他にもある。
或いは伝えられない相手…伝えてはいけない相手…
きっとそうなんだ。
だけど、照之さんはその人のことが好きだから、私と一緒のところを見られたくなかった…
そう考えると、やはり寂しい気持ちは募った。