横顔の君




「わぁ、大きいですねぇ…!」

まるで広い空を浮遊しているような大きなジンベイザメに、私は思わず声を上げてしまった。



またこの間と同じようなファミレスで、ちょっと遅いランチをとった私達は、その後、近くの水族館を訪ねた。
日曜日と言うことでそれなりに混んでたけれど、さっきの人ごみに比べたら全然たいしたことはない。



「あんな大きな身体だと、相当食べるんでしょうね。」

「そうでしょうね。でも、あんまり大きな魚は食べないみたいですよ。」

照之さんといると、本当に気持ちがほぐれる。
もちろん、緊張はしてるんだけど、声や話し方が穏やかだし、全体的にのんびりした人だから。



ゆっくりと歩き、他愛ない会話を交わしながら館内の海の生物を見て回った。



大きな水槽にうっすらと映る私達の姿を見て、ふと思った。
私達は、傍目にはどういう風に見えているのだろう?
夫婦?
恋人同士?
それとも、ただの友達?
似てはいないから、兄妹には見えないだろう…



傍を通った二人連れば、腕を組んでるからカップルだってすぐにわかる。
私達はもちろんそんなことはしないし、私達の間には適当な距離がある。



(やっぱり、友達同士かな?)



わかりきったこと…しかも、現実…
それがちょっと寂しかった。



「吉村さん…お土産見て行きましょう!」

お土産さんが見えた時から、きっとそう言うんじゃないかって思ってたから、私はつい吹き出しそうになって俯いた。



(まさか、また何か買ってくれるんじゃ…)



厚かましくも、私はそんなことをふと考えた。



「吉村さん!ちょっと!」

呼ばれて言ってみると、そこにはラッコとペンギンのぬいぐるみを抱えた照之さんがいた。



「これ、どっちが可愛いと思いますか?」

「え…っと、どっちも可愛いですが…強いていうならラッコかな?」

「ラッコですね。
じゃあ、今日はこれをプレゼントさせて下さい。」

「え…そ、そんな…
今日、無理を言って着いて来ていただいたのは私の方だし…」

「何をおっしゃってるんです。
僕一人だったら、あんな面白い所に行けることはなかったし、しかも、ここにお誘いしたのは僕の方ですよ。」

「い、いえ、私も出来ればここに寄りたいなって思ってたんです。」

そんなやりとりをしてる間に、私はおかしくて噴き出してしまった。
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