横顔の君




「わぁ……」



袋の中に入っていたのは、パールの付いたハート型のペンダントだった。



宝石屋さんらしき店名だし、どう見ても安物とは思えない。
どうしよう…
買い物に付き合っただけで、こんなものをいただいてしまうなんて…



私は、まだ一度もかけたことのなかった照之さんの携帯に電話した。



「はい。」

「あ、吉村です。
さっき、あの…プレゼントを見たら、なんだか素敵なペンダントが入ってて…」

「僕はセンスが悪いので、店員さんに見立ててもらったんですが、気に入らなかったですか?」

「そうじゃないんです。
あんな素敵なものいただいて、なんだか申し訳なくて…」

「……もしかしたら、ご迷惑でしたか?」

「違うんです。
そうじゃなくて、ただお買い物にご一緒しただけなのに、あんな素敵なものいただいて良いのかなって…」

「吉村さん…本当にご迷惑だったらはっきりおっしゃって下さいね。」

「だから、本当にそうじゃないんです!
私、すごく嬉しかったです!
でも…」

「……だったら、受け取って下さい。」

「……はい、どうもありがとうございました。」

なんだかぎくしゃくした雰囲気のまま、通話は終わった。



私ってどうしてこう口下手なんだろう。
こんなことなら、最初から「どうもありがとうございました、すごく嬉しいです!大切にします!」って、素直に言えば良かった。



今更そんなことを思っても仕方ない。



(あぁ…本当に私の馬鹿…)



ペンダントに手を伸ばし、それを首に掛けた。



(……素敵……)



チェーンの長さもちょうど良い。
奇しくもパールは6月生まれの私の誕生石だ。



そんな小さな偶然を想うだけで、私の胸はじんわりと熱くなった。
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