音ちゃんにお任せ



一通りの準備ができて、あとは一ノ瀬くんが帰ってくるだけです。
時計は8時を回りました。




「おかしいですね・・・。8時には帰ると言ってたんですが」

「バイトだから、多少の残業はあるんじゃない?よく、遅くなることあるし」

「そうですか・・・」



驚かせるために部屋を暗くしてクラッカーをもって待っている私たち。
琴心ちゃんも、お腹がすいているでしょうにわがままも言わず一ノ瀬くんの帰りを待っています。


しかし、一ノ瀬くんは9時を回っても帰ってきません。




「どうしたんだろう、お兄ちゃん・・・」

「琴心ちゃん、もう遅いですし、ご飯食べてもう寝なくちゃですね」

「やだっ!こともにぃにまってる!にぃにといっしょにごはんたべる!」

「もしかしたら、バイト先でなんかあったのかも。遅くなるかもな・・・」



結斗くんは困ったように呟く。
冬深ちゃんも少しがっかりしたように立ち上がった。





「こと、お兄ちゃんには明日お祝いしてあげよう?お兄ちゃん明日は休みだって言ってたから。ね?」

「やだっ!ことにぃににおめでと、いうっ!」




< 138 / 290 >

この作品をシェア

pagetop