音ちゃんにお任せ



「オーナー、もう酔ってるんすか?」




グイッと体を押しのけられ突然聞こえた声。
驚いて顔をあげると私とオーナーの間に身体を割り込ませ立っている一ノ瀬くん。




「一ノ瀬く・・・」

「箸。箸落としたからとってきて」

「え?は、箸?はい。・・・すぐとってきますね」




突然言いつけられた用事。
私は首をかしげながら椅子から立ち上がりキッチンに向かった。



それにしても、驚きました。
オーナーって、お酒に酔うとあんな風になるんでしょうか。
まだ始まったばかりであまり飲んでいなかったような気がするんですが。

弱いのかもしれませんね。

お水を持っていってあげた方がいいでしょうか。


そう思って、冷蔵庫から水を取り出しコップに注ぐと箸と一緒に持って帰る。





「あれ」


戻ると、私が座っていたはずの席には一ノ瀬くんが座っていて。
一ノ瀬くんの席には私の右隣に座っていたパートさんが座っています。
必然的に開いているのは私がもともと座っていた席の右隣。


私は首をかしげながらその席へと向かう。




< 241 / 290 >

この作品をシェア

pagetop