彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
顔には出さない不快を感じる私をよそに、クラス内での反応は違っていた。
「あーん、必死なアダム君も素敵~」
「うんうん、健気なところが良いよね~」
パン!と両手を合わせて頼む姿に、教室の中の女子がうっとりする。
「カッコいいなぁーアダム君♪」
(カッコ悪いの間違いでしょう・・・・?)
ポーとする女子達の言葉に、1人冷静にツッコむ私。
(宿題ぐらいできないで、どうするのよ!?)
自分のことを自分でしないとか、私の中ではありえないんですが!?
私はそう思ってるんだけど―――――――
「菅原さんケチよね~宿題ぐらいさー・・・」
「あたし、頼まれたことないのに~」
「大体あの子・・・」
私の周りはそうは思ってないらしい。
冷たい目が向けられたのは、飯塚ではなく私・・・!
(はいはい、わかりましたよ・・・・見せればいいんでしょう!?)
こんな感じで、毎回私があきらめる方向で話をまとめる。
出来るだけ、おどおどした口調で控えめに言う。
「お・・・・拝まないで、飯塚君!私のでよかったら・・・・どうぞ?」
「マジで!?よかったぁ~!」
(本当は良くねぇーけどな・・・!)
表向きは大人しい凛ちゃんだが、心の中は凛道蓮モードで対応する。
しかし、心の底では文句が尽きない。
(毎回毎回・・・・なんで私なの!?)
飯塚とは、グループも違うし、中学校も小学校も違う。
塾とか習い事でも同じというわけでなく、全く接点がない。
それなのに、どういうわけか、私に宿題を見せてくると頼んでくる。
相手が一般生徒なら、ここまでムカつかない。
(飯塚アダムは学校中でも人気の色男。)
奴が私に声をかけるたびに、周りの女子からの冷たい目、うらやましい目を向けられ、注目されて困る。
(大体、こうやって人が苦労した宿題をいつも見せてもらう根性が気に入らないのよね~!)
みんなからの好感度は良いみたいだけど、私は嫌い。
というか、関わりたくないね。