彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)



「ありがとう~恩にきるよ、菅原さん!ホント、菅原さん優しい~」

「飯塚、早く早く!」

「先公が来ちまう!」




私の渡したノートを振りながら、仲間が待つ場所へと宿題をお持ち帰りするイケメン。

途端に、奴の仲間が私のノートに群がり始める。




(てか・・・貸してって頼んでない奴が勝手に見るのもムカつく・・・!)



〔★凛はそれも気に入らない★〕




類は類を呼ぶというから、飯塚の友達を見れば、飯塚がどーゆー奴かわかる。

困り笑顔を作りながら、その様子を監視していたら言われた。



「凛ちゃん、すごいね~飯塚君にご指名とか?」

「あ、いや・・・きっと、便利な辞書代わりにされてるんだよ。」

「でも、お近づきとかいいよ。他の子達は、面白くないみたいだけど~」

「そうだよ、いじめられないように気をつけてね?」

「ありがとう、マキちゃん、夏美ちゃん。」



友達二人の言葉取り、嫉妬の目で私を見る女子が何人かいる。

人間とは簡単なもので、勉強ができると、案外助かる場合がある。

入学後、こちらのあいさつを返さなかった女子でさえ、自分が勉強で困っていたら、その問題の答えを教えてやれば、次の日からフレンドリーになった。

ダサイ、地味と笑っていたのに、カントリーで可愛いと言ってもらえるようになるのだ。




(見た目で判断されるって・・・・本当に嫌だよ、瑞希お兄ちゃん。)




芸は身助けると・・・勉強だったり、スポーツだったり出来れば、誰かを助ける力があれば、私も助かるって本当だね。



(と言っても・・・私の場合は、いいように利用さえれてるんだけどな・・・)



気づいてるけど、気づかないふりをする

わかってないようにする。

そうしなきゃ、集団の中で生きていけない時だってあるんだよ・・・





(・・・凛道蓮なら、こういう時、正直に言うんだろうな・・・)





宿題を見せてくれ?


いやだね。


何の苦労もしてない奴に、なんで俺が?


消え失せろ、クズが。




(それぐらいは言える。)



〔★辛口だ★〕



自分じゃないけどもう一人の自分を思ったら、嫌な気持ちが吹き飛ぶ。

シミジミと悟るような気持でお空を見上がれば、青い景色が見えなくなった。



(え?なんで??)


「あれ?菅原さんって、煙草吸うの?」

「ええ!?」




そう言って現れたのは、またしても飯塚アダムだった。


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