魔王のオモチャ
「オヤジ。俺をこのままにしていいのか?
俺は、今さら勇者になる気なんてねぇ
だから普通に暮らすぞ」
『ぷっ。普通に暮らす?
暮らせるわけないよ
トヨは本当にバカなのか賢いのか分からないよー
トヨのその美貌……
他の悪魔や人間が放っておくはずないだろ?
断言するよ。トヨは普通に暮らせない』
「普通に暮らせなくても、俺は暮らす
オヤジ、あんたからしたら俺はツマラナイ存在になるんじゃないか?
俺を悪魔に戻せば、もっと面白いものを見せてやる」
『面白いもの?
何を見せてくれるのかな〜?』
「そうだな……
オヤジが絶対に思い浮かばないようなこと……とか、どうだ?」
『……へぇ……面白そうだね…
だけど、そんな手には乗らないよ
面白いことは、起こらないでしょ?
トヨを悪魔に戻しても、今までと変わらないのが目に見えてるよ』
「オヤジ。俺は見せてやる自信あるぜ?
まあ、あんたが拒否るなら仕方ねぇ……
俺は普通に暮らす」
のれ!
のってこい、オヤジ!!
『……………………んー、そうだな……
あっ!……あー、どうしよかなー
あの子を出すのは……んー』
オヤジは、俺を見ながら
何かを考えている様子だった
あの子……?
誰のことを言ってる……?
『………んー、まあ、大丈夫かな…
僕より、トヨに興味をもつと思うし……
よし!分かった
トヨを悪魔に戻そう!
トヨが約束を守らなくても……
僕にはあの子がいるから、面白くなりそうだ』
なんだ?
オヤジの言ってる意味が分からない……
まあ、でもこの機会は逃せない
「じゃあ、オヤジ
俺にオヤジの血をくれ」
『はいは〜い。美味しく飲んでね♡』
オヤジは、俺に腕を出してニコリと笑って言ってきた
俺は、オヤジにニヤリと笑い思いっきり腕を噛んでやったが…………
オヤジは、痛くないのか
へらへら笑って俺を見つめていた
チッ。
ほんと、ムカつくぜ……
そして、オヤジの血が全身に回ると……
負の力が溢れ、前と同じ魔力を手に入れた
俺は……
魔王に戻った……