EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
白魔の手に更なる力が加わる。
「何を吹き込まれたのかは知らないけど、僕を捨てるなら赦さない。君が離れていくくらいなら…このまま殺す」
「ち…が……」
違う、と言いたいのに苦しくて言葉にならない。
(このままじゃ、本当に殺されちゃう!!)
小鳥は白魔の手を爪で引っ掻いた。
「ハハッ…爪を立ててまで僕から逃げたいの?」
「は、なし……!」
「放して欲しい?なら僕にキスしなよ」
「話を聞いて」と言いたかったのだが、結果的にチャンスは訪れた。
白魔の顔が至近距離まで近づいてくる。
互いの唇と唇が触れ合うまで1センチもないだろう。
「君から、して」
甘い吐息。
見えるのは、彼の瞳に映る自分の顔。
花に誘われる蝶の如く、小鳥は白魔に口づけた。
「ん……ハァ」
こぼれたのはどちらの吐息だっただろう。
白魔はゆっくりと手の力を抜き、小鳥の喉から鎖骨に手を滑らせた。
「白魔さん…私は、白魔さんのこと嫌いになんてなってませんよ」
解放され、荒い呼吸を落ち着かせながら小鳥は必死に言葉を紡ぐ。
「白魔さんのお母さんは、私によろしくって言ったんです。白魔さんを、よろしくって」