EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
「嘘だ!!母上がそんなこと言うわけない!!あの人は…僕を嫌っているんだから!!」
激昂する白魔は涙目で小鳥を睨みつけた。
けれどすぐに怒りは消え、ぽろぽろと涙をこぼす。
「そんな……母親らしいセリフ…言ってくれるわけ…ないじゃないかっ…」
小鳥の肩に震える両手を置き、顔を隠すように俯く白魔。
「白魔さん…」
小鳥は優しく彼を抱きしめた。
「それが本当なら……どれだけ嬉しいか…」
「本当ですよ…。信じて下さい」
「信じたいよ…。でも…君は優しいから。僕のために嘘をついているのかもしれない」
白魔が小鳥と視線を合わせる。
彼は囁いた。
「ねえ、僕を傷つけても構わないから…真実を教えてよ」
濡れたアメジストの瞳が懇願する。
小鳥は記憶を探りながら先程よりも詳しく話した。
「白魔さんのお母さんに白魔さんを愛してるか聞かれました。はいって答えたら、ありがとうって言われて……これからも白魔さんをよろしくって」
「本当に…優しい嘘じゃ、ないんだね…?」
「はい。白魔さんに嘘なんてつきません」
白魔の耳に甘く優しく響く小鳥の声。
たとえ彼女が語った真実が全てでっちあげだったとしても、もうこの優しい温もりを受け入れてしまおう。
白魔は縋るように小鳥を抱きしめた。
「…母上って、何考えてるんだか……全然わからないよ」
「白魔さんのお母さんですからね」
「ハハ…それ、どういう意味なの…?」
弱々しく笑う彼の目からまた涙が溢れ出す。
それは静かに頬を伝った。