EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】

「嘘だ!!母上がそんなこと言うわけない!!あの人は…僕を嫌っているんだから!!」

激昂する白魔は涙目で小鳥を睨みつけた。

けれどすぐに怒りは消え、ぽろぽろと涙をこぼす。

「そんな……母親らしいセリフ…言ってくれるわけ…ないじゃないかっ…」

小鳥の肩に震える両手を置き、顔を隠すように俯く白魔。

「白魔さん…」

小鳥は優しく彼を抱きしめた。

「それが本当なら……どれだけ嬉しいか…」

「本当ですよ…。信じて下さい」

「信じたいよ…。でも…君は優しいから。僕のために嘘をついているのかもしれない」

白魔が小鳥と視線を合わせる。

彼は囁いた。

「ねえ、僕を傷つけても構わないから…真実を教えてよ」

濡れたアメジストの瞳が懇願する。

小鳥は記憶を探りながら先程よりも詳しく話した。

「白魔さんのお母さんに白魔さんを愛してるか聞かれました。はいって答えたら、ありがとうって言われて……これからも白魔さんをよろしくって」

「本当に…優しい嘘じゃ、ないんだね…?」

「はい。白魔さんに嘘なんてつきません」

白魔の耳に甘く優しく響く小鳥の声。

たとえ彼女が語った真実が全てでっちあげだったとしても、もうこの優しい温もりを受け入れてしまおう。

白魔は縋るように小鳥を抱きしめた。

「…母上って、何考えてるんだか……全然わからないよ」

「白魔さんのお母さんですからね」

「ハハ…それ、どういう意味なの…?」


弱々しく笑う彼の目からまた涙が溢れ出す。

それは静かに頬を伝った。









< 180 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop