EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
「ダメっ!!」
唐突に聞こえた、小鳥の声。
次の瞬間、ルカは背中から小鳥に抱き締められていた。
「こと、り……?」
「ルカくん、ダメっ!殺しちゃ、ダメだよ」
驚きつつも、ルカは小鳥の「ダメ」に従った。
考えるよりも先に体が小鳥の言うことを聞き、ヴォルフから足が離れる。
「……ッ、ジャマ、しないでよ。せっかくルカくんが、ボクのこと殺してくれるのに」
横になったまま負け惜しみのように罵れば、そんなヴォルフに小鳥が近寄ってきた。
小鳥は両膝をついてヴォルフに顔を近づけると、至近距離から彼を見下ろし、殴られて酷い状態になった彼の頬を両手でペチンと叩いた。
それはそれは、優しく。
「これで、おあいこ、です。ヴォルフさんが私にしたことは、もう忘れます」
「は……?」
キョトンとするヴォルフ。
良く見れば、ヴォルフを覗き込む小鳥はボロボロと泣いていた。
涙がヴォルフの頬に落ちてくる。
その悲痛な顔を見上げて、ヴォルフは初めて小鳥に罪悪感を覚えた。
「だから、ルカくん、これ以上、酷いことはしないで」
小鳥がヴォルフから離れ、ルカと目線を合わせる。
すると、ルカは困ったように前髪をガシガシと掻き上げた。