彼に惚れてはいけません

「そのつもりで家に呼んだに決まってるだろ。由衣みたいな純粋な小娘、簡単なんだよ」

私の体に半分、体を預けるような体制で、吉野さんが私を押し倒した。

「ノコノコ、男の家来るんじゃねぇって。襲われるに決まってるだろう」

「だって、自分の気持ちに素直になれって言ったでしょ?」

私の声は驚くくらいに震えていた。

「演技したってだめだから。吉野さんはそんな人じゃない」

「俺の何を知ってんだよ。俺は、由衣が好きな映画に出てくるような紳士でもないし、王子様でもないんだよ」

「そんなこと、知ってるもん」

吉野さんの顔が近付いてくる。

このまま押し倒されるのかな。


「同じ部屋に好きな女がいたら、誰でも我慢できないに決まってるだろ」



そっと近付く唇に神経を集中していて、耳から入る言葉が後から脳に伝わる。


今、何て言った?




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