彼に惚れてはいけません

でも、この状況・・・・・・どうしよう。

吉野さんは、嫉妬とかしないだろうから、大丈夫だよね。

と思った私が甘かった。


前から歩いてきた吉野さんは、私の目の前で止まり、腕を掴んだ。

「吉野さん、会社の先輩の中村さんです」

と紹介しても、吉野さんの怖い顔はそのままで・・・・・・

どうしよう、と思っていると、中村さんが地雷を踏む。

「あんたが、コイツの彼氏ですか?」

私の腕を離した吉野さんが、ゆっくりと中村さんの前に立ち、

「コイツって、誰のこと言ってるんですか」

その表情と、いつもと違う低い声で言う。

私はドキドキハラハラ。

中村さんはかなうわけがない。

吉野さんのような凄みは出せないし、負け犬のようにほえることしかできないだろう。

「佐々木のこと、泣かせないようにお願いします」

中村さんが低姿勢でそんなことを言うもんだから、負け犬だなんて思ってしまってごめん!と心の中で謝った。

「中村さん、そこまで由衣のこと大事に思ってくれてるんですね。ありがとうございます。絶対に泣かせませんし、大切にします。でも、会社でのことは俺にはどうしようもできないんで、中村さんにお願いしてもいいですか。由衣のこと、お願いします」

ここが、吉野さんのすごいところ。

普通はさ、お前に関係ないだろう!俺の女だ!とか言って、ケンカになるんじゃないの?

何、ハグしてんの~?


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