彼に惚れてはいけません

中村さんを見上げると、口角を上げて言った。

「なんなの、あの人。かっこよすぎんだろ。器、でかすぎだろ」

「でしょでしょ~!超、かっこいいの」

とつい盛り上がってしまい、ごめんと謝った。


カフェでコーヒーを飲みながら、話したこと。


中村さんは、入社以来、勝手に私のことを見守り続けていたらしい。

寂しそうにしていると、声をかけるようにしていた、と。

そして、最近様子がおかしいと気付き、好きな男ができたんだろうなと想像していたって。

応援したい気持ちもあったけど、カフェで吉野さんを見て、軽くて遊んでいる大人に見えたから、心配になった・・・・・・と。
そして、今までは妹のような存在だと思っていたのに、私が男の人といる場面を見たときに悔しくてたまらなくなり、この気持ちが恋だったんだと気付いた。

中村さんが主役の映画だったら、観客はみんな中村さんのその恋を応援するだろう。

ごめんね。
知らなかった。

そんな風に思っていてくれたとは思わなかった。

軽く声をかけてくるだけだと思っていた。

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