彼に惚れてはいけません
最後に言ってくれた。
「あの人なら、大丈夫なんじゃない?男が惚れるような男だよ」
吉野さんのおかげで、長年苦手だった中村亮司を好きになることができた。
これからは、いい関係が築けそうだ。
今まで避けていたけど、もっと仕事で頼ったり相談に乗ったりしてもらおう。
ありがとう、吉野さん。
ありがとう、中村さん。
こんな私を好きになってくれて、ありがとう。
小走りで、箱庭カフェへと向かった。
「こんばんは」
懐かしい匂いと、この色。
穏やかなライト。
「久しぶりだね。吉野さん、ちょっと散歩に行くって、1分くらい前に出て行ったよ」
「散歩ですか?ちょっと探してきます」
店を出て、あたりをきょろきょろと探してみるけど、吉野さんの姿はなくて。
少し歩いていると、いきなり背後から抱きしめられた。
「やっと、来た」
「・・・・・・吉野さん?」
「バカ、心配させんなよぉ」
「・・・・・・遅かった?」
「5分過ぎてる。これ、俺を妬かせる作戦?」
くるりと前に向けられた私は、あったかい大好きな胸の中にいた。