彼に惚れてはいけません
「良かった。由衣が他の男と仲良く歩いてるの見て、おかしくなりそうだった」
「吉野さんも、嫉妬するの?」
「当たり前だろ?結婚しようと思うくらい好きな人なんだから。結婚って、俺だけのものにしたいっていう気持ちがあるの、知らないの?」
もう一度、ぎゅっと抱きしめられて、私は吉野さんの体にくっついた。
久しぶりの箱庭カフェは、やっぱりとても好きな場所だった。
吉野さんは、報告してくれた。
「マスター、実は結婚するんですよ」
「本気かい?あんなに、もう誰も好きにならないと言っていた君が、結婚か」
吉野さんは苦笑いをして、私を見た。
「そうなんですよ。信じられる人がようやく現れたんでね」
マスターは、小さく頷いて、奥さんと目を合わせた。
傷付いてボロボロだった吉野さんを私は知らない。
この場所で、ゆっくりと傷を癒していたんだね。
「マスター、この場所のおかげでもあるんですよ。本当に救われました」
「僕達は、最初からわかっていたけどね。由衣ちゃんが初めてこの店に来たときから」
「またまた、そんなこと言って~」
マスターの言ったことは嘘じゃないのかもしれない。
最初にこの店に来た時、マスターは意味深な感じで私に話してくれたような気がする。