彼に惚れてはいけません
「遅くなってごめん。マスター、いろいろすいません」
振り返ると、吉野さんが急いだ様子で入ってきていて、心臓が高鳴った。
そして、周りにお客さんがたくさんいることに気付く。
箱庭カフェ、すげぇ。
「由衣、待たせてごめん。ちょっとトラブルで」
おい!
また呼び捨て?
嬉しいけど。
「いえいえ。私は大丈夫ですけど、お仕事大丈夫?」
仕事終わりの男性の顔が好きだったりする。
ちょっと疲れた感じが好き。
それも、イケメン限定なんだけど。
彫りの深い人が疲れると、もっと彫りが深くなる。
洋画を観まくった私が気付いたこと。
マスターと何やら話している吉野さんの横顔を見つめながら、体の線や持ち物もチェックしていた。
細身だと思っていたけど、そうでもない。
顔が細いから体も細く感じるだけで、なかなかの筋肉質かもしれない。
黒の皮のビジネスバッグに、ポケットから覗くあの赤い猫のカバーのスマホ!
ギャップ萌え!