彼に惚れてはいけません
1ヶ月レンタルの契約さえもらえたら、あとは、社長が出てくることもないはずだ。
社長は決定権があるだけで、その後の詳しいことは庶務や総務の人が相手になる。
「何台置こうかなぁ」
岡田社長は、パンフレットを遠目から見て、目を細めた。
どうやら老眼らしい。
「広さ的には、2台くらいでしょうか」
「社長室にも置いてもいい」
「それなら、小さなサイズがあります。これは、家庭用なので価格もとてもお安くなってますが、レンタルはなくて、買取のみになります」
「ほほう。なかなか商売上手だな」
はっ!!
油断した。
手、握られてる!
「またまたぁ、社長」
とやんわりと手を引く。
「飲み過ぎて、ちょっとフラフラして来たよ。どこか別の場所で休憩でもしようか」
はい、出ました!
休憩!
男の人って休憩好きだよねぇ~!
「そうですね。私も飲み過ぎてしまったみたいで、ちょっともう帰らせてもらいます」
「君を連れて行きたいバーがあるんだよ。まだ帰る時間じゃない」
手が伸びて来たので、私はパンフレットに挟んでいたレンタル契約書を渡す。
「これ、酔いつぶれる前に書いてもらえます?まずは1ヶ月お試し頂けると嬉しいです~」
手を握られたので、その手の上に手を乗せた。
これくらいへっちゃらだ。