彼に惚れてはいけません
「うちの社長が言ったんだよ。あの子、大丈夫かなって」
抱きしめる力が緩み、目が合う。
「だから、何が何でも俺は由衣を見つけたかった」
「絶対来てくれるって思った」
大好きな垂れ目スマイルで、目がなくなっちゃうくらいに優しい顔になる。
「私のこと考えてくれてありがとう。仕事うまく行く方向に持っていってくれた」
「せっかくセクハラに耐えたのに、俺が台無しにしちゃいけないなって思って。本当はあのセクハラ社長殴ってやろうかと思ったけど」
ふふふと笑い合った後、とても自然に・・・・・・自然に唇が重なった。
2度目のキス。
私の罪悪感や恐怖を消してくれようとしているかのような、柔らかなキス。
「怖かっただろ。何、された?」
ぎゅっと抱きしめて、背中をさすってくれた。
「手を握られた」
私がそう答えると、吉野さんは私の手をそっと握り、体を離す。
「俺が除菌してやる」
私の手を何度も優しく撫で、指の間に指を絡めた。