御曹司さまの言いなりなんてっ!
「ですが動線が整わなければ、外部からの集客は望めません」
「金が回らなきゃ活性化なんて叶うはずない。だから先ずは集客を目標にするべきだ」
「そのためにも、村全体の衰えた体力を回復させることが先決だと思います」
「だから立派な施設を作って、建築業に金を回すんだよ。施設の規模が大きければ雇用も促進されて、若者が根付くだろう」
卵が先かニワトリが先か。
真っ向から対立するふたりの議論の展開に、皆がまたヤレヤレとお互いの顔を見合わせ始める。
確かにどちらの言い分も一理ある。
専務の言う通り村が魅力的なオプションを持つことは、強力な強みになるだろう。
でも部長の意見も正しい。
衰えた体に、いきなり100キロのバーベルは持ち上げられない。
ろくな準備の整っていないパーティー会場に客を招待したところで、客の評価は目に見えている。
だから部長は、その折衷案を取り入れたんだ。
古民家の再生という魅力的な新しい風を呼び込んで、村人本人達に活性の息吹と意識を芽吹かせる。
そのことについてはもう、結論が出ている事案だった。
だからこそ古民家の再生も進んでいるのに、今になってそんなことを蒸し返されても困ってしまう。
「参ったな、これでは水掛け論だ。部長と僕とでは全く意見が正反対のようだね」
専務がフウッと息を吐いて、テーブルの面々を見渡した。
「では決を採ろう。皆は僕と部長と、どちらが正しい意見を述べていると思うかな? 僕の意見に賛成の者は挙手をしてくれ」