御曹司さまの言いなりなんてっ!
ここで怯んではいられない。
だってこんなのが公正な決議とは、とても言えない。
こんな集団イジメの個人攻撃みたいなことを、この『遠山の金さん』が黙って見過ごすわけには断じていかないわ。
「今から新しい施設を建てるとすれば、どれほどの時間と予算が必要でしょうか。これまでに費やした労力、費用、ヘタをすれば仕事に関わってくれていた人達の信頼まで失ってしまいます」
「…………」
「この仕事は、地域住民の信頼なくして成り立つものではありません。その点を再考していただきたいと思います」
専務に向かって臆せず意見を述べる私に、周囲の視線が突き刺さる。
ああ、やったよこの娘。もう終わりだな。
そんな憐れみと、わずかな蔑みの混じった視線だった。
でも私は胸を張って、そんな視線を受け止めていた。
私は間違ったことは言っていないし、このチームの一員として意見を述べる権利は当然ある。
「君は……」
一瞬戸惑った専務は、それでもすぐに立ち直った。
まっすぐ自分を見つめる私の視線に対して、完全に小馬鹿にしたような視線で返す。
「君の考えは、実に浅はかだな。女は子宮で物を考えるというが、その通りだ」
「…………」
「君は思考にセンスが無いんだよ。さすがは、そんな安物のスーツを着る女性なだけのことはあるね」
その暴言に会議室の空気が、シーンと静まり返った。