御曹司さまの言いなりなんてっ!
舗装されていない道をガタガタと進むトラックは、ほどなくして林檎園に到着した。
相馬さんが
「あんた、帽子かぶんねえから具合悪くなんだよ。ほら」
って言って手渡してくれたピンク色の麦わら帽子を頭に乗せ、グルリと周囲を見渡す。
真っ青な空の下に広がる果樹園に、どこまでも続く林檎の木々。
明るい陽射しを反射してキラキラする豊かな葉が、わさわさと音をたてて夏の風に揺られている。
その合間に見え隠れする果実が、綺麗なアクセサリーのように見えた。
足元の一面の緑の中には、白いシロツメクサの花と、小さな林檎の実。
今年の春に生まれたという相馬さんの家の子ネコの兄弟たちが、その実を転がして遊んでいた。
「あんれえ、あんたもう大丈夫だか?」
「あ、小林さん、皆さん。おはようございます。昨日はありがとうございました」
会長の小林さん率いる婦人会のメンバーが集合している。
お辞儀をしてお礼を言う私に、小林さんが笑いながらエプロンを差し出してくれた。
「さあさ、これ着けて。今日は動き回るよ」
「あの、私、なにをお手伝いすればいいんでしょうか。勉強不足なもので、林檎のことは全然知識がないんですけれど」
「素人に難しいことは頼まないさあ。あんたに今日お願いするのはね、子守りさ」
「子守り? どなたかのお孫さんですか?」
「んだね。今日はねえ、孫が大勢来るよお」