御曹司さまの言いなりなんてっ!

 ゼエゼエ息を切らしながら、それでも何とか引き攣った笑顔で応戦している私の奮闘ぶりを見て、相馬さんと小林さんがカラカラ笑った。


「なあ、だから言ったべ? 子どもはお人形じゃねえよ」

「そ……そうですね……。可愛いからってナメてかかると、痛い目みますね……」

「そんでも、子どもは村の宝だ。ここで生まれて、ここで大きくなっていくんだ」


 愛おしげに子ども達の様子を見守るふたりの目は、実の孫を見るような慈愛に満ちている。

 小さな村で暮らす人達は、お互いを支え合う家族みたいなもんなんだろう。


「子どもたちには、ずっと村さ居て欲しいのさ」

「わいらも、ずっとここで暮らしてきたから。ここで死にてえよな」


 相馬さんが、しみじみとそんなことを言う。


「でも店はなくなるし、医者は遠いし、若いモンの働き場所はねえし、不便なことばっかりで暮らしにくくてさ」

「でもさ、あんたとこの一之瀬さんが来て、色々とやってくれてるから」

「最初はなあ、よその若いモンが来て、何も知らねえくせに、なにやってんだって思ってたけどな」

「誰にも相手にされてなかったのに、ずいぶん頑張ってくれて。ありがてえよなあ」


 ふたりの話を聞いた私の胸がグッと熱くなった。

 部長、最初は村の人達に受け入れてもらえてなかったんだ。

 そうよね。私も地方出身だから分かるけど、田舎ってどうしても排他的な部分があるから。

 それを彼はコツコツ努力を積み重ねて、やっとここまで信頼してもらえるほどになったんだ。
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