御曹司さまの言いなりなんてっ!

『この重さは、部長のこれまでの努力と誠意の証』

 昨日、私がそう言った時の部長の嬉しそうな顔を思い出す。

 何も言わないけれど、きっと彼は多くの苦労を懸命に乗り越えたんだ。私の好きな人がそんな人だと知って、とても誇らしい。


 やっぱり、何としてもこのプロジェクトは部長の手で成功させなければならない。

 70年来の会長の悲願を成し遂げるのは彼しかいない。

 そのためにも、私が出来る限りの支えにならなきゃ。

 ……公私の両面で。


 私にキスをする部長の甘い表情を思い出し、心の奥がジーンと満たされる。

 こんなに有意義な仕事を通して再会して、ふたりの気持ちが結ばれるなんて、やっぱり私達には運命的なものを感じてしまう。

 ああ、彼と出会えて、そして好きになって良かった。

 つくづく実感しているその時、突然スマホが鳴動して私は胸を躍らせた。

 あ、きっと部長だわ。噂をすれば影ね。


 ホクホクしながら画面を確認した私の笑顔がスーッと消え、眉間に皺を寄せながらディスプレイを凝視する。

 なぜならそこには、非常に嬉しくない予想外の名前が表示されていたから。


『バカ専務』


 ……なに? 専務が私になんの用なの?
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