御曹司さまの言いなりなんてっ!
息が苦しくなるほど強く抱かれて、彼の匂いに包まれながら、私は彼の背中に両腕をそっと回した。
ああ、私を守ってくれた、あの大きな背中だ。
今は素直に信じられる。あの時のあなたは、なんの打算もなく純粋に私を守ってくれたんだと。
「成実、本当に好きだよ」
薄暗い部屋でお互いを見つめ合い、部長は優しく微笑みながら私に甘い言葉を囁いてくれた。
その言葉をうっとりと噛みしめながら、私も自分の気持ちを正直に返す。
「私も、あなたが本当に好き」
「…………プッ」
「……なんでそこで笑うんですか?」
「いや、お前、はっぴ姿が異様に似合ってるなぁと思って」
「人のこと言えないですよ。部長だって写真に残しておきたいくらい似合ってますよ。いっそスマホで記念撮影しましょうか?」
「やめてくれ」
実は向かい合う私達は、金々ギラギラ超ド派手なお祭りはっぴ姿だった。
だって小林さんの息子さんが『どうせなら思い切り景気よく』って、これしか用意してくれなかったんだもの。
私達はお互いの姿を見ながら笑い出してしまった。
「これじゃムードぶち壊しだな」
はっぴを脱いで、部長はポーンと床に放り投げる。
そして意味深な流し目で、彼は私に言った。
「お前も脱げよ……成実」
私の笑顔が固まって、胸がトクンと波打つ。
とっさに意味が通じないふりを装ったけれど、頬に血が集まっているのがこの暗さでも分かってしまうだろう。