御曹司さまの言いなりなんてっ!

 そのセリフ、そっくりそのままあんたらにお返しするわ!

 あまりに厚顔無恥な言葉の連発に、私はクラリと眩暈を覚えてしまった。

 周囲の招待客達は気まずそうな表情をしながらも、目は興味津々でこの展開を見守っている。

 このままじゃ、『継母&実子VS先妻の子』のバトルは恰好の醜聞ネタになってしまうだろう。

『部長は賢いせいで、グレることもできない』

 悪い噂はとにかく広まるのが早いし、しかも尾ひれがつきやすい。

 それを恐れた部長は、会社のためにいつも自分の方から折れてばかりいるんだろう。

 そして社長夫人と専務はそれを見越して、部長が引っ込むように、わざと無茶な言い分を言い立てる。

 これまでその繰り返しだったんだろう。今もその展開を狙って、ふたりは勢いに乗って連鎖攻撃してきてるんだわ。

 でも部長は、私をふたりから隠すように目の前に立ち塞がった。


「なんと言われようとも、私は今回の決断を撤回するつもりはまったくありません」


 その部長の言葉に、自信満々だった社長夫人と専務の表情が変わった。

 息継ぐ間もなくしゃべり続けていた唇の動きがピタリと止まってしまう。

 代わりに部長の唇がゆっくりと、でも力強い言葉を発した。


「遠山成実は、私のパートナーです。誰がなんと言おうとも」

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