強引上司の恋の手ほどき
「大事にするもなにも、俺にとってなんのメリットもなかったのに、そんな無駄なことできるわけないじゃないですか」

無駄なこと……私と過ごした四月からの半年間が無駄だったって……。

私は無意識に課長の浴衣を握りしめていた。

「ふーん。そうかまぁ、お前程度の男では、コイツの良さはわからないだろうな」

そう言った瞬間、課長の手が伸びてきて、私の腰に回される。そしてぐいっと引き寄せられて私の体は課長の体と密着した。

「え?」

驚いた私が声を上げそうになるが、その前に課長の唇が私のこめかみに落ちてきた。

う、嘘! キスされてる!!

驚いた私が目を白黒させているうちに、課長と中村くんの話は勝手に進む。

「お前がサッサとコイツを手放してくれないと、俺が困るんだよね。ほら、コイツ真面目だからさ」

中村くんの表情がどんどん怒りをはらんでいく。奥歯を噛み締めて拳を握っている。

「深沢課長もわざわざ千波なんかと付き合わなくても……」
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