強引上司の恋の手ほどき
「これは、こっちで引き継ぐ」

「忙しいのにすみません」

「気にすんなって。他の仕事もあるんだろ? さっさと済ませろ」

私の肩をポンっと叩いて課長は自分の席へと戻っていた。

こんな風に胸をドキドキさせているのは、私だけだということはわかっている。

けれど勝手に音を立てる胸を私はどうしたら抑えることができるのか、わからなかった。

「資料室行ってきます」

こういうときは、体を動かすに限る。

私は、段ボールに入った使い終わった資料を戻すことにした。

「よいしょっと……」

中身は半分程度なので、そこまで重くはなかった。両手で抱えて立ち上がる。

「これも一緒に……って思ったけど、無理か」

美月さんが分厚いファイルを差し出した。

「いけますよ。私、結構力持ちですから。上に乗せてください」

「本当に大丈夫なの?」

「平気です。どうぞ」

私の持っていたダンボールの上に美月さんがファイルを乗せた。

あれっ、結構重いかも。まぁ行けないこともないか
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