強引上司の恋の手ほどき
そして翌日——。
肝心なことを忘れていた私は、机に突っ伏して自分を呪っていた。
朝誰も来ていない間に謝って、少しでもスッキリした気分で過ごそうと昨日深夜に帰宅したにも関わらずいつもどおりの時間に出社したのに……。
課内の行動予定表をみて愕然となる。
【深沢・大阪出張】
何度見てもそう書いてある。
どうしてこんな大事なこと忘れてたんだろう。
そもそも郡司さんが忙しくて、ほとんど会えないからやっと予定が空いたのがバレンタインの日だった。そのときに今回の出張についても聞かされていたのにすっかり忘れてしまっていた。
「はぁ……」
深い溜息をついた後、私はデスクの上に置いてあったファイルを何気なく手にとって開いた。
そして瞬時に目を見開く。
【チョコレートうまかった】
くせのある字で書類の端に張ってあった黄色い小さな付箋に書いてある。名前なんか書いてなくても差出人が誰かなんてすぐに分かった。