強引上司の恋の手ほどき
兄ってことは、ふたりは兄妹ってことだよね? だったら、私が考えていた男女の関係なんてありえない。けれど……

「苗字はどうして?」

頭が上手く回らずに、片言に鳴ってしまう。それぐらい私は安堵と動揺の入り混じった感情に支配されていた。

「前に話しただろう。両親が離婚してるって。コイツは母親についていったから“島津”なんだ」

たしかに、以前そういう話を聞いた。

本当に……兄妹なんだ。

私は、緊張が解けてソファの背もたれにドサッと体を預けた。

「バレンタインに予定変更してまで会ってるから、てっきり……」

「それはだな……」

「お兄ちゃん! それは私から話をさせて」

郡司さんの言葉を遮って、美優さんが話始めた。

「あの日予定があると言っていた兄を無理やり呼び出したのは私なんです。実はある男の人に言い寄られていて、そのことを相談するために急を要してたんです。本当にすみません」

「それって、中村くんのことですか?」

さっきパーティ会場の外で、郡司さんが中村くんに言っていた言葉を思い出した。
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