強引上司の恋の手ほどき
「どこに塗って食べようかな?」

「し、しませんからね。そんなこと」

「じゃあ、千波が俺に塗って食えよ」

ぐ、郡司さんに!? 思わず想像してしまい刺激的な様子に想像だけなのに恥ずかしくなってしまう。

「それもしません!」

私は彼の手をふりほどこうとしたけれど逆に、もっと近くへと引き寄せられてしまう。

すると、彼はマグカップと一緒に持ってきて、テーブルの上に置いて茶色のボトルを手にとった。

「これ、あの日美優が俺にくれたバレンタインのプレゼントな」

それは有名な洋菓子店で限定で取り扱っているチョコソースだった。

「たしかこれって、コーヒーに入れて飲んだらすごく美味しいって雑誌に書いてありました」

「ふーん」

そう言いながら、郡司さんが自分の指先にチョコを乗せた。

「味見してみる? ほら」

私に差し出すようにチョコののった指を差し出した。

——これを舐めるの? っていうか、郡司さん本気で“あれ”やるつもりなの?
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