強引上司の恋の手ほどき

「それより、お前なんかあったのか?」

話すかどうか迷ったけれど、これまでのことを全部話しているせいか私は先ほどかかってきた電話の内容を聞いてもらった。

「ふーん。中村も結構面倒な奴だな」

「仕事じゃなかったら、私だって行きたかったですよ。でも私のミスですから」

目の前には、完成とは程遠い資料が画面に映し出されていた。

罪のないのに私はそのパソコンを恨めしく睨んでしまう。

「行けよ。中村のとこに」

「でも課長。これ今日中にしないと」

「ホント真面目だな。いつか損するぞ。このくらいのこと明日やったところでバレないだろ。責任者の俺がいいって言ってるんだ。いいから今日はもう帰れ」

「そんな、迷惑かけられません」

いくら課長がいいと言っても、決まりは決まりだ。きちんと守らないと迷惑がかかる。

「あーもう。上司命令だ。これは明日やれ。俺が今から仕事するのに、お前にちょろちょろされたら気が散る」

そう言うと私の手を引いて立ちあがらせると、私のバッグをつかんでそのままエレベーターホールまで連れていかれる。課長が乗ってきたエレベーターがそのままになっていて、すぐに扉が開いた。

「あの、課長……」

エレベーターに乗ると、私のバッグを押しつけられる。そして一階のボタンを押すとすばやくエレベーターから降りた。

「お疲れ。楽しんで来いよ」

笑顔の課長に見送られて、私は中村くんの元へと向かった。
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