強引上司の恋の手ほどき
「私は、普通のラーメンに味玉のせにします」
「了解。あ〜腹減ってきた」
そう、課長がつぶやいたときにちょうど私達の順番が来てカウンターに案内された。
慣れた様子で注文を済ませた課長は、ここのラーメンの美味しさを熱く語る。もう何年も通いつめているらしい。
「俺、こう見えても好きになったら一途だからな」
「課長の口から“一途”だなんて言葉聞けるだなんて思っていませんでした」
くすくすと笑う私を見てたいそう不満そうだ。
「俺は社内一モテるけど、別に不誠実じゃないぞ」
「でも、いつも女子社員に囲まれている気がしますよ」
事実今日だって、昼休み食堂でたくさんの女の子に声をかけられていた。そしてもれなくどの子にも笑顔を返していた。
「お前、よく見てるなぁ〜あれは別に俺から声かけてるわけじゃねーからな」
モテる男の発言だ。中村くんもきっとそうだ。モテる彼だから他の女性に声をかけられることだってあるだろう。
それをいちいち気にするなんて、無駄なことなんだ。
「お待ちどうさま」
ふたりの前にラーメンが差し出された。私の前に置かれたラーメンにもたくさんのチャーシューがのっていた。
「あの、私普通のラーメン頼んだんですけど」
「いいの、いいの。あんなに熱くうちのラーメンへの愛を語られたらおまけせずにはいられないだろう」
「あの、でもそれ俺なんですど」
たしかに、私は初めて食べるのだ。熱い愛を語ったのは課長だ。