強引上司の恋の手ほどき
「おまけするならかわいい子がいいだろ。いっぱい食べてまた来てね」

「なんだよ。結局そこか!」

店主と課長のやりとりを見て声を上げて笑った。

「いただきます」

割り箸を割って、ラーメンを啜る。

昔ながらのさっぱりした醤油味のスープがもっちりとした麺に絡んで美味しい。課長おすすめの味玉は、ラーメンとの相性がバッチリでもう一個食べたいくらいだっだ。

なにも考えずに夢中で食べて、お腹を満たした。

手を合わせて「ごちそうさま」というとカウンターの中の店主から「おそまつさまでした」と声がかかった。

「混んでるし、出るか?」

私が食べ終わるのを待っていた課長と外に出た。

「あの、お金は……」

「なんだ、今日はデートだって言っただろ? 彼氏が払うのは当然」

「でも……」

「ほら、行くぞ」

課長はいきなり私の手を引いて歩き始めた。いきなりのことでびっくりしたけれど、課長に合わせて歩きだした。

「課長……この手は?」

耐え切れなくなって聞いてしまう。中村くん以外の男性と手を繋いだのは小学生のとき以来だ。

「こういうときは、黙って繋がれてればいいんだよ。あ、マジで嫌なときは別な!」

「はい。そうします」

アドバイスを受けて素直に聞き入れる。
< 53 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop