強引上司の恋の手ほどき
***
今日もアッという間に時間が過ぎた。
定時が過ぎて三十分ほど経ったが、まだ課長が席に戻ってきていない。
朝一で頼まれた資料を準備したが、ひとつだけこれで合っているのかどうか自信がないものがあるので、直接確認してもらいたい。もし間違っていたら、探さないといけない。
私は課長がデスクに戻ってくるのを待っていた。
すると隣の総務課の課長がフロアに戻ってきた。たしか、一緒に会議に出ていたはずだ。
確認すると、先ほど会議は終わったとのことで、課長は休憩ブースへと足を運んでいたそうだ。
わざわざ追いかけてまで……とは思ったけれど、依頼されてから随分時間も立っている。それに机にもメモはおいたけれど、大阪支社からの伝言もある。私は理由をつけてプリントアウトした資料を持って課長のいる休憩ブースまで足をのばした。
「あははは! もう深沢課長ったら、冗談やめてください」
中から女子社員の笑い声と課長を呼ぶ声が聞こえ、一瞬足を止める。先客がいるのだからすぐに踵を返すべきだ。そうわかっているのにできなかった。自分の名前が上がったからだ。
「ずっと聞きたいと思ってたことがあるんですけど、課長と菅原さんってどういう関係なんですか?」
盗み聞きなんてよくない。そう思っていても足が張り付いて動かない。
ちらっとみたところ、あさ給湯室で私に同じ質問をしてきた大西さんだった。
一体どういうつもりなんだろう。続きが気になってしまう。