強引上司の恋の手ほどき
「もう、そんな冗談で私をからかうのはやめてください!」

そんなこと、想像したくなかった。考えただけで胸が痛む。

どうして私にそんなこと聞くの? 盗み聞きしたことを怒ってるんだろうか?

追い詰められて、俯いたままの私から課長が離れた。

「ごめんごめん悪い冗談だ。もう定時過ぎてるんだから今日はもう帰れ」

「でも……あの」

私の言葉を課長が遮っった。

「お疲れさん」

そう言うと私に背を向けた。その背中が私に早く行けと言っている。

私は痛む胸を抑えながら、その場を離れる。

休憩ブースから少し離れた場所で、涙が滲んだ。

課長の様子がいつもと違ったのが理由ではない。それじゃないなにかが、私に涙を流させている。

課長はちょっとふざけただけなのかもしれない。けれど私には刺激が強すぎた。

私……課長のことが好きなの? いや、そんなことないはずだ。私は中村くんが好きなんだから。私の彼氏は中村くんなんだから!
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