強引上司の恋の手ほどき
「できれば、家で休みたいんだけど」

『え〜! だって他の部署の連中は彼女や奥さん連れてくるんだよ。俺だけひとりだなんて、さみしいじゃんか』

確かに社内のイベントでは、家族や彼女が参加することも出来る。

しかし、私は今体調が悪いのだ。日曜に無理して月曜以降に差し支えては社会人として失格だ。

『ね! 明日寝たらちゃんと治るって。だから日曜は絶対来て』

「うん……」

半ば強引に日曜の約束をさせれらてしまう。これ以上押し問答したくない。

ここは早く寝て日曜に備えなくては行けない。

『あ、そうだ。差し入れお弁当つくらなくていいからね』

確かに、毎年フットサル大会の後はお弁当をみんなで囲む。家族連れの人なんかから差し入れがあってみんなでワイワイ盛り上がるのだ。

「体調が悪いから無理だろうし。助かる」

『そうだよね。それに千波のお弁当って全然可愛くないでしょ。茶色でおばあちゃんが作ったみたいな弁当。ああいう場所ではちょっと恥しいよね』

「……っう」

私の体調を慮って“お弁当がいらない”と言ってくれたわけじゃないんだ。

私の作ったお弁当が恥しいんだ。

結局は自分のためなんだ……言いかけて飲み込む。
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