強引上司の恋の手ほどき
美月さんと加藤さんは、ベンチに仲良く座ってすでにビールを飲んでいた。

「中村くん、経理課の試合があるみたいなんで、応援行ってきてもいいですか?」

「え? まぁいいけど。でも次俺の試合だからすぐに戻ってきてね」

「はい。ちょっと挨拶してきます」

一瞬嫌そうな顔をしたのは気のせいじゃない。でも私はそれに気がつかないふりをして経理課のメンバーの元へと、用意してきた飲み物を持って移動した。

「お疲れ様です。これ差し入れです」

美月さんと加藤さんが座っているベンチへと向かい差し入れを出した。

「千波〜アンタ今日はあっちの捕虜じゃないの?」

もういい気分になっている美月さんから、今の私にピッタリのアダ名が進呈された。

「そんな風に見えましたか?」

「うん。もうずっと目が笑ってなくてキモチワルかった」

ちょっと言い過ぎだとは思うが、美月さんのたとえは的確だったようで、隣にいた加藤さんが手を叩いて笑っている。

「もう、金子ってば言い過ぎだって! せめて囚われの姫ぐらい言ってあげなよ」

散々笑っていたくせに。
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