強引上司の恋の手ほどき
「本当にごめんね。この埋め合わせはするから……」

「わかったよ。でも俺送っていけないから。ちゃんと自分で帰れるよな?」

病気で気が弱っているからか、彼の言葉ひとつに傷ついてしまう。

こんな時でさえ、私ではなく周りが優先なんだ。

「うん。着いたら連絡するね」

本当は病気で心細い。だけど楽しんでいる彼の邪魔するわけには行かない。

私は聞き分けよく、ひとりで最寄り駅まで向かった。

帰り道、スマホが震えメールを受信した。

中村くんからだろうか。

タッチしてメールを確認する。

【姿が見えないけど、帰ったのか?】

メールの差出人は課長だった。

【大丈夫です。明日はちゃんと出社します】

そうメールを返した後も、課長からのメールをただじっと眺めていた。

ふと、大西さんと楽しそうに話していた課長の姿が浮かんでくる。

なぜだかその光景を思い浮かべると、私の気持ちが深く深く沈んでいくのだった。
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