強引上司の恋の手ほどき
翌日。私はふらふらする体をなんとか気力で支えていた。

あれから部屋に戻った私は、体のだるさをなんとかしようとそのままベッドへと直行した。

朝は、平熱だったし咳も昨日よりもマシになっていた。病院でもらった薬を飲んで出社したのだ。

前日の社内のレクリェーションに参加しておいて、翌日の仕事を休むなんてことは社会人としてあってはならない。

いくら中村くんに強引に誘われたからといっても、最終的に参加を決めたのは私だ。

なんとか一日の業務が終わるまで、体調の悪いことを隠しておきたかった。しかし運の悪いことに十五時をすぎたあたりから、熱もでてきたみたいだ。

どうにか定時の十七時半まで、仕事をこなして笑顔でロッカーに向かった

「お疲れ様〜」

美月さんも気がついていないみたいだ。これでバッチリ。あとはなんとか家まで辿り着かなくては。

しかし気が緩んだせいか、エレベーターに乗った時はふらふらだった。ロビーを抜けてすぐにタクシーを捕まえるつもりだった。

あともうちょっとで、会社の玄関を抜ける……そのときに私の腕が引っ張られる。

顔を見なくったって、相手が誰だか分かってしまう。

「おい、そんな体でひとりで帰れるのか?」

「課長……」

心配そうな課長の顔を見た瞬間……私の記憶はそこで途切れた。
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