強引上司の恋の手ほどき
***

あれから私は、タクシーに乗せられて家まで連れて帰ってもらったみたいだ。気がついたのは、課長がタクシーの運転手さんに支払いを済ませていたところだった。

タクシーから降りると、私をおんぶして部屋まで運んでくれた。

「菅原、鍵はどこだ?」

私は課長の前にバッグを差し出す。

「中、あさるぞ」

すぐに鍵をみつけた課長が、鍵をあけてすぐに部屋の中へと足を踏み入れた。

狭い私の部屋でベッドを探すのは、簡単だった。すぐにベッドへと私を運ぶと、課長の大きな手が私の額に当てられた。

「冷たいです……」

「ちょっと我慢しろ」

冷たくて気持ちいい。そう感じたのだけど、私の言葉足らずでキチンと伝わらなかったみたいだ。

「熱いな……どうしてこんなになるまで我慢したんだ」

口調は怒っているけれど、私を心配してくれているのがその表情からわかる。

「ごめんなさい」

「どうせ、迷惑かけないようにとか思ってたんだろ。これ、おもいっきり迷惑だからな」

「すみません」

さっきから謝罪の言葉しか口に出来ない自分が情けない。

「いいから、俺薬買ってくるから、お前は着替えて寝てろ」

「でも……」

「これ、上司命令だから。わかったらさっさと着替える。なんなら俺が脱がしてやろうか。得意分野だけど」

「結構です」

慌てる私を見て笑うと、課長は部屋の鍵を持って外へと出て行った。

課長の気遣いに感謝して、私はパジャマに着替えるとベッドに横になった。

する、自宅に帰って安心したせいか、急に襲ってきた睡魔によって私は目を閉じた。
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