新選組と最強子供剣士
間者がいる。


そういうのは、土方さんや近藤さんから聞いたことはある。


剣壱君でも誰か‥‥‥わからない。


「簡単にバレるような阿呆は、流石に間者にはしないだろうし。でも、それなりにめぼしは付けてるから大丈夫だよ」


後は時間の問題。


剣壱君‥‥‥いや、立花ちゃんがいればすぐにでも分かるだろう。


でも、剣壱君はそれをしない。


「剣壱君、間者がいると分かってるのに何で動かないの?」


「優先順位が下だから」


「どういうことだ?」


「害虫駆除は強い人からしていかないと、ね。
そうでしょ?」


「害虫、駆除‥‥‥‥」


「???」


平助は分かっていない。


いや、わからない方がいい。


剣壱君が言っているのは、芹沢さん達のこと。


芹沢さん達は‥‥‥害虫。


「僕は隊士じゃないし、その辺は土方さんに聞いてよ。僕は僕でやるからさ」


その時、心臓が酷く脈打った。


剣壱君に感じていた違和感。


今、剣壱君と話している時、僕は何か違和感があった。


それに今、気づいた。


「平助、行くよ」


「は?」


「剣壱君は自分でやるって言ってるし、よう大丈夫でしょ。それより、土方さんもそろそろ部屋に戻ってるころだし」


「あ、報告しなきゃいけねぇ‥‥‥」


「そ。わかったら行くよ」


「あ、ああ。剣壱、じゃあな」


「うん、またね」


剣壱君に背を向け、平助と廊下を歩く。
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