新選組と最強子供剣士
表向きには美人で気の強そうな人だけど、性格は優しくて笑うと可愛い。


今まで沢山の男に言い寄られて来たんだろう。


「おい、お前」


そんなことを思っていると、お梅さんが今まさに男に言い寄られている。


え、江戸時代のナンパ!!


男は二人組で、どちらもニヤニヤとしていている。


うげぇ、めんどくさい。


お梅さんを見ると、あからさまに顔をしかめている。


おおう、嫌な思い出でもあるんだろう。


男達の言葉にお梅さんは無視し、そのまま横を通り過ぎようとした。


「嬢ちゃん、無視するたぁどういうことだ?」


が、肩を掴まれる。


美人さんも苦労するな~


「すみません。私に言ってるとは思わなくて」


ニコッと微笑んで言うお梅さん。


その笑顔に男達はさらにデレデレする。


今思えば、僕視界に入って‥‥‥る?


「ちょっとそこのお店で酌してくれよ」


「ごめんなさいねぇ。今、この子のお兄さんを探しているところなのよ」


‥‥‥‥ここで僕に振るんですか?


いや、まぁいいけど。


男達は僕を見るなりギロッと睨む。


うん、土方さんより迫力ないから大丈夫。


男達の目は「あっちにいきやがれ!」と言っているよう。


だけど‥‥‥‥


僕は繋がれたお梅さんの手を見る。


僅かにカタカタと震えている。


ちょっと手助けしようか。 


「おじさん達、ごめんね!僕、今このお姉さんと僕のお兄さん探してるんだ!」


輝かしい笑みを作って男達を見ると、その顔は鬼のようだ。
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