帰り道



えっと‥とりあえず拓哉がうちに来るわけだよね。


何があったか教えてくれるのかな?


あたしは少し急いで原チャを押して駐車場に停めて家に入ると緩めに暖房を入れた。


コンビニ袋の中にあるコーヒーはすっかり冷めていてなんだかそれがさっきの拓哉みたいに冷たくてわけもなく悲しい気分になる。


冷たいコーヒーなんか飲む気にはなれないしわざわざ入れ替えて温めてまで飲みたいわけではないしな。


そのままテーブルの上に缶コーヒーを置いてタオルでびしょ濡れの髪や身体を拭きながら部屋着に着替えを済ませた。


ドライヤーで髪を乾かそうか迷っているとピンポーンという音と共にガチャっとドアを開ける音がした。


その音にあたしは思わず顔がゆるんでしまう。懐かしくて優しい音。


淋しかった子供のあたしを何度も何度も救った音だから。


ドアが開いたのをわかっていたけれどあたしはそのまま耳を澄ます。


「りんー?」


期待通りのあたしの名前を呼ぶ拓哉の声にどこか嬉しさが込み上げる。


ピンポンと鳴らして返事も待たずにドアを開けて少しだけ大きな声であたしを呼ぶ。


少し様子のおかしかった拓哉だったのにこれだけは変わらず昔のままなのがなんだかくすぐったくて嬉しかった。
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