目には目を、歯には歯を
執行
エリックは、しばし口をつぐんだ後、おもむろに言った。
「…最低、2日、です。最長は……あなた次第ですね」

また、謎めいた答えだ。
だが、最低2日、という言葉にジャックは心底驚いた。

「たった、2日? 殺人罪だというのに?」

どんな国であろうとも、殺人罪にはもっと重い刑罰だろう。最高刑は死刑だ。

それが、この国ではたった2日、この自由な施設にいるだけ?

いや、とジャックは思い直した。
いるだけの筈はない、何かをされるに違いない。

「…何をさせられるんだ?」

低い声でジャックが尋ねる。それに対して、フェルナンデスは、変わらぬ口調で淡々と続ける。

「特別には、何も。あなたがすることは、何もありません。…他に質問は?」

「…最長は何日なんだ?」

「それは、あなた次第だと言ったはずです。おそらく、明日になれば判るでしょう。できれば、2日で終わることを我々も願っていますよ。
 では、他に質問がなければ私はこれで」

淡々と言い放ち、フェルナンデスは部屋を出ようとした。

出口でふと立ち止まり

「部屋にカギはかけられません。何かあったら、大声で私を呼んでください。監視カメラで判りますからね。」

と振り向いて言った。

「では、明日また、お会いしましょう」

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