妖の王子さま
「そうだよ、あの天ってやつその後やってきて蒼子さまは人間界に追い返したから、前の白玖に戻ってって騒いだんだぞ!」
「そ、そうなんだ・・・」
「白玖が追い返したけど・・・」
「せっかくなら、蒼子の住む人間界も見てみようと思って」
「見てみようって・・・」
突拍子のない話に蒼子はさらに混乱する。
見てみようでどうしてこうなっているんだ。
「蒼子、最近ボーっとしてるからさ、人間界が恋しくなったんじゃんじゃないかって前話してたんだよ。だから、しばらくこっちにいさせてあげようって」
「え・・・」
「でも、それだと白玖が寂しそうだったから、だったら白玖も学校とやらに行ってみたらって言ったらその気になっちゃって」
「そ、そうだったんだ・・・」
そんなことを白玖たちが考えていたなんて・・・。
その想いからこんな突拍子のないことしてくれたのだと。
獣の耳も、牛の角も隠してまで人間の世界に紛れ込んでくれたのだと。
蒼子は嬉しく思った。