覇狼



『やめろ』



それは低くて冷たい声。


それでも躊躇わずに、葉月は呉葉の顔を見つめる。



『は…なせ……………』



震えて、葉月の腕をはらおうとするが葉月はびくともしない。



髪で隠していた顔の半分は、火傷の後がくっきりと残っていた。


右目には、シールタイプの眼帯。


葉月がそれに手をかけた瞬間、ガクガクと震えて涙をこぼす。



葉月は何も言わずに、それを剥がした。



『やだっ返して!!!!』



手で右目を覆いながら、葉月のもつ眼帯を取り返そうとしているが、震えて力が入っていない。



もう、限界だった



「落ち着け………」



震える小さな体をそっと、抱きしめる。



『見ないで…………』



落ち着いたのか、大粒の涙が頬を伝う。



葉月も、きっと考えなしで動いたんだろう。


呉葉の状態にハッとする。



「葉月、頭冷やせ。やっていいことと悪いことがあるだろ。」



下を向いて、悔しそうにソファにもどる。



「呉葉、とりあえずお前は退場だ。」


コクンッ


俺は他の奴らに顔が見えないように、呉葉を抱き上げた。



「部屋にいる。話が終わったら呼べ」


紘人が頷くのを見て、総長室に入った。



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