覇狼



ベッドサイドの電気だけをつけて、抱っこのままベッドに座る。



何も言わずに、ただ抱きしめてるだけ。


しばらくして震えがおさまってきた頃、話しかけてみる。



「呉葉?」


『…………なに?』



俺の胸に顔をうずめたまま返答してくる。



「葉月も、パニクってんだ……許してやってくれ…………」


『……………コクンッ』



頷いて俺のシャツを強くつかむ。



『…………思い、出してほしく…なかったの………』



黙って頭を撫でると、せきを切ったように話し出した。



『さっきの話………少しだけ、嘘ついた……』


「あぁ。」


『……本当は…ナイフを振りかざした男と………葉月の間に入った………間に、合わなかったの…………』




これを知ったら、葉月は自分を責めてしまう。


姉が弟についた優しい嘘。






< 111 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop