覇狼
ベッドサイドの電気だけをつけて、抱っこのままベッドに座る。
何も言わずに、ただ抱きしめてるだけ。
しばらくして震えがおさまってきた頃、話しかけてみる。
「呉葉?」
『…………なに?』
俺の胸に顔をうずめたまま返答してくる。
「葉月も、パニクってんだ……許してやってくれ…………」
『……………コクンッ』
頷いて俺のシャツを強くつかむ。
『…………思い、出してほしく…なかったの………』
黙って頭を撫でると、せきを切ったように話し出した。
『さっきの話………少しだけ、嘘ついた……』
「あぁ。」
『……本当は…ナイフを振りかざした男と………葉月の間に入った………間に、合わなかったの…………』
これを知ったら、葉月は自分を責めてしまう。
姉が弟についた優しい嘘。