覇狼



「呉葉………見せてくれねぇか?」



少しだけ、賭けに出てみようと思った。




ビクッと肩を揺らして、フルフルと首を振る。


「嫌いになんかならねぇよ。」



むしろ、好きな気持ちがどんどん増してきて抑えらんねぇ。


嫌いになんか、なれねぇ。



さっきよりももっときつく抱きしめる。

すると、少しだけ上を向いた頭。


また、長い前髪で隠れてしまってる右目。


額にキスをして、大丈夫だ…という気持ちをこめて微笑む。


少しの間、下を向いてた呉葉は意を決したように顔を上げた。




頬を伝う涙を親指ですくい取り、もう片方の手で右側の髪を耳にかける。



ナイフで切りつけられた痕の上から火傷の痕。


その火傷も、目の周りが一番酷い。



そっと、呉葉の右頬を撫でるとピクッと反応する姿がかわいい。



「見えて、ねぇんだな…………?」





『………うん………醜い、でしょ…………』



そう言って俯く呉葉の顎を持って俺の方を向かせる。





「綺麗だ………」


そう言って、右目にキスを落とした。




【side end】



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