恋する時間を私に下さい
「……リリィ…」

怒った顔に涙を潤ませ、彼女は俺を睨んだ。
潔癖症で、自分が納得しないと首を縦に振らないと、妹から聞いてた通りだった。


(こういう事か…)

納得しながら、こっちにも意地ってものがあった。
好きな女が反対したくらいで、簡単に言葉を引っ込められるか。

「…どんなに言われても、俺は漫画をやめる!司書はやめさせないし、これからだって隣に住んでもらう!『OーGATA図書館』で、ずっと働いてもらう!!」

「そんな勝手ばかり言わないで下さい!都合良すぎますっ!!」

大きな声を出しすぎた。
くらっと目眩がして、後ろへ倒れ込みそうになった。


「…リリィ!」

慌てたように、礼生さんが支える。
心配そうに見つめる彼を見ながら、申し訳ない気持ちにもなった。

「逃げろ…!」と言われた時に、逃げもしないでいたことで、彼の心に傷を負わせた。
その傷を癒すために、彼は漫画をやめようとしてる。


(何もかも…私の為に………私を守る為に……考えた……)


< 152 / 206 >

この作品をシェア

pagetop